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スマイソン



EU離脱をめぐる国民投票で、いま大きな話題となっているイギリス。身のまわりでは残留の声がほとんどであったため、結果にはとても驚いています。日本人の僕は蚊帳の外ですが、この大きな変化のタイミングをちょっと引いた場所から見ることができればと思います。





ロンドンに渡ったら絶対に行きたいと思っていたお店が、スマイソンです。125年以上の歴史をもつ文具屋さんで、革製品、特に手帳の愛用者は多いと聞きます。ロゴや店先にある紋章は、英国王室御用達(ロイヤルワラント)のあかし。伝統と格式あるステーショナリーに加え、ボンドストリートにある本店に来たらぜひ見ておきたいのがこちらのファイル。




このファイルには、過去にオーダーされた招待状や封筒、名刺などがアーカイブされています。用紙やフォント、マークなどのサンプルも多数あり、本店一番奥のスペースでオーダーメイドできるようになっているのです。英国様式の貴重な資料を、こうやって実際に手に取って見ることのできる機会なんてなかなかありません!




すで3回通い、毎回1時間くらいかけて1冊を眺めています。オーダー用のファイルのため、見ていると度々店員さんに "May I help you?" と話しかけられるのですが、その度に "Just looking." と言ってやりすごしています。(かなり迷惑…)タイポグラフィがめちゃくちゃ綺麗で、一風変わった細密な紋章など、全く見飽きません。




フェザーウェイトペーパーというオリジナルの用紙があり、主にノートや手帳に使われています。束になっても持ち運びを容易にするために開発された用紙で、薄くて軽い上に丈夫なのが特徴。さらに万年筆での書き心地は最高とのことです。また1枚1枚に製品の信頼のため、紙幣に使用される技術を用いたオリジナルの透かしが入っています。




スマイソンを知ったきっかけは、僕の尊敬するデザイナーさんが自身の事務所のステーショナリーをつくっていたため。その高品質さから、用途の多くは謝罪文、始末書、詫び状となり、以来レターヘッドは「どうもスマイソン」と呼ばれているそうです。笑 こうやってお店を訪れ製品のストーリーを知ると、謝罪に限らず大切な時に使いたいと思わせてくれます。イギリスにいる間に何回通えるか楽しみです。


ロンドン
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クイーンエリザベス
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エリザベス女王は、イギリスの現在の君主。その姿は、おみやげ店の多数のグッズや紙幣、硬貨のすべてに見ることができます。その女王の90歳を祝う式典がこの週末にかけて行われました。本当の誕生日は4月らしいのですが、最も天気の安定する6月に祝うのが例年の習わしだそうです。

ここ最近のロンドンはとても気持ちの良い気候で、日中は路上や公園で日光浴をしている人をたくさん見かけます。その上、夜の10時くらいまで明るいので、パブでは連日店の前まで人だかりが。あまりの多さに事件と勘違いするくらいです。屋外を楽しめる僅かな時期であるため、イベント等も集中しているようです。

こちらに住み始めてまだ間もないですが、天気の変化、それに1日の温度変化には驚かされます。1日の中に四季があると言われるくらいで、折りたたみ傘は手放せないし、コートやセーターを急遽引っ張り出すことも。やっと落ち着いてきた今が過ごしやすいピークで、あとは最悪だと聞いたので先が思いやられます…

バッキンガム宮殿前で祝賀パレードが執り行われた土曜日は、暖かい晴れ間の広がる、この時期に相応しい一日となりました。

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子供たちも旗を振って女王の90歳をお祝い


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これほどの人混みは想定外?


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いろいろな人種の人達。それにしてもみんな背が高い…笑


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旗をもらって一緒にお祝いに参加


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騎馬隊が通るも、全く見えず


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バッキンガム宮殿の前で記念撮影


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馬にも気品が漂う


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宮殿前の大通り。日曜日にはここでストリートパーティーが開催された


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マダムたち、バッチリきまってますよ


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馬に乗ってさっそうと駆け抜けていくさまは映画のよう


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とにかく人、人、人で、エリザベス女王を観るどころか、何が行われているのかもよく分からない状況でした。肉眼では全く確認できなかったのですが、帰って見返した写真の中に奇跡的な一枚が。宮殿のバルコニーで、黄緑の帽子とコートを纏った女王が微かに…。いまも日々忙しい公務をこなす90歳とは思えない現役の姿に、イギリス国民のみならず多くの人々が元気をもらっているようでした。
ロンドン
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V&A子供博物館


2週間限定のストラトフォードの仮住まいから、都心部からさらに離れたトッテナム・ヘイルへと引越しました。お金がないなりにたくさんの店を回り、様々な商品を見比べ、少しずつ身の回りを充実させています。それぞれの町についても、後々このブログで紹介していきたいと思います。

物価が高いことで有名なロンドンですが、国立のミュージアムのほとんどは無料です。これはとても嬉しい。観光客ももちろん多いけれど、地元の人にとっても公園を使うような気軽さが感じられます。今回は観光ではなかなか訪れないであろう、V&A子供博物館に行ってきました。

ヴィクトリア&アルバート博物館は、工芸・デザインの膨大なコレクションをもつ博物館。デザインに関わる人に限らず、ロンドンに観光に来る多くの人が訪れる場所だと思います。(僕は行ったことありません…)その分館がV&A CHILDHOOD MUSEUM。おもちゃを中心とした子供用品や子供服などを収集している博物館です。アンティークドールをはじめ、レゴブロックやシルバニアファミリーといったおなじみのものも。日本からもゲームボーイやたまごっちがあり、発見したときはテンション上がります。自分の部屋には絶対に収まらないほど大きいドールハウスは圧巻です。

子供のミュージアムということで、什器が子供目線で作られていて、ベビーカーもすれ違えるほどゆったり広々としたスペースが取られています。この日もたくさんの親子が遊びに来ていました。中心に配置されたカフェには、展示を全く見ていないであろうおじさんやパソコン作業をしているお兄さん、何時間おしゃべりしているのか分からないマダムなども。ミュージアムを無料にすることは運営上とても難しいことだと思いますが、空間構成の自由度を最大限に活かしていました。館全体の雰囲気がオープンで、住民に愛されている素敵な空間でした。



ロンドン
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ロンドナー


イギリス・ロンドンに無事到着し、1週間が経ちました。
最初は慣れない土地と先行きの見えない不安から、ネガティブなこともたくさん考えましたが、徐々にこちらの生活を楽しむ余裕が出てきているような気がします。

このブログはもともと1ヶ月のヨーロッパ一人旅を記録する目的で始めたのですが、中途半端なままあれよあれよと…そんなこんなで2年が過ぎた2016年5月、YMSという制度を使い、2年間のイギリス生活をスタートさせました。

YMSとはビザの一種で、31歳未満を対象にイギリスでの2年間の滞在と就労を認めるものです。ワーキングホリデーと少し違うのは、2年という期間とフルタイムの仕事ができるという点。イギリスは特に希望者が多いため、年に1度の抽選によって定員1000名の上限が決められています。

僕がイギリスを選んだ理由は単純で、前回の旅で一番よかったと感じているからです。その感覚をもう少し具体的に、生活者として探ってみようと思っています。

心配事を上げればきりがありませんが、こんな幸運な機会もないので楽しむこと、そして気づいたことはこの場で共有していけたらと思います。
ロンドン
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2015年の年賀状
あけましておめでとうございます!(遅)
今年はどれだけ更新できるか...海外編はいつになったら完結するのか...
そんな調子で2015年、第1回目となる更新は番外編からのスタートです。


 2015年の年賀状

年賀状をつくりました。忙しさや面倒くささを理由になんとなく今年はやめようかな…なんて思っていました。本当は、自分のデザインや自分の表現を公にするのがとても怖いのです。デザインに携わる仕事をしているくせにです。いや、デザインに携わるからこそ、その責任の重さが分かるからなのかもしれません。

とはいえ、僕にとって年賀状は、年に一度の手書きのはがき(手紙)を送る行事。大事にしたい習慣です。

そんなこんなでつくり始めたのは12月の最終週。元旦にお届けできずにすいません。そして今年は以前からやりたいと考えていたあることを実行しました。少々長くなりますが、ぜひその過程を知っていただきたいと思います。


 活版印刷と活字

以前からやりたかったこと、それは「活版印刷」です。活版印刷とは、凸版を用いて印刷する手法。普段目にする印刷物のほとんどは、平版を用いたオフセット印刷によるものです。また、家庭用に至っては版が必要ないインクジェットやレーザープリンタが主流ですね。

活版印刷には活字を用います。「活字」とは、文字一つ一つが金属でできているはんこのようなもの。明朝やゴシックなどの書体の違い、見出し用や本文用などの大きさの違いがあり、加えて日本語は膨大な文字数が必要になります。これらを組み合わせて印刷用の版をつくります。

版を組む作業を「植字」といい、これには熟練の職人技が必要です。手間ひまがかかる上、職人の減少によって、活字による活版印刷ができる場所も少なくなっています。しかし、活版特有の凹みやにじみ、金属活字の美しい文字とその文字組みは、今でも名刺や格調のある文書、和紙など印刷のしにくい紙になくてはならない存在です。

現在は活版印刷でも、比較的安価な樹脂板を使って版そのものをつくってしまうことが多いそう。そのほうが植字の手間もなく、思い通りのデザインにできるためです。


 年賀状ができるまで

活字を自分の手で組んでみたい。一枚一枚自分の手で活版印刷をしてみたい。そんな無茶なお願いを快く引き受けてくれたのが、金沢の尚榮堂さん。今でも活版印刷のみを行う町家の印刷所です。職人の頑固なイメージが全くない、いつも笑顔のご主人とネコが大好きで、僕とカフェや雑貨の趣味が合う奥さんのおふたりと一緒になって制作しました。





1.デザイン案の決定
活字を用いた活版印刷では様々な制約があります。それぞれの文字をしっかり固定するため、余白にも専用の金属を詰めなければいけません。もちろん文字数が増えれば増えるほど植字作業は難しくなります。それを知らなかった僕は、むやみやたらな空白のある案や文字だらけの案をつくってしまいました。唯一初心者でも実現できそうだった今回の案でさえ、横組みと縦組み、更に罫線が入り交じる複雑なもので、3回に分けて印刷することに。




2.字を集める(文選)
日本語の文字数は非常に多いため、使う文字をあらかじめ集めておきます。棚はだいたい部首ごとに分かれているのですが、今回は部首に関係なく「羊」が付く漢字をひたすら探します。当初は全て異なる漢字を集める予定でしたが、そこまでのバリエーションがなかったため書体違いも可としました。それでもおふたりにも協力してもらいながら全ての文字を集めるまでにかかった時間はなんと2時間!最後の一文字を見つけたときは、3人とも自然と拍手がでるほどでした。




3.植字(組版)
ここからがいよいよ文字を組む作業。ステッキと呼ばれる道具に活字を並べていきます(写真撮り忘れました。。)文字間や行間は活字より少し背の低い、込め物やインテルを使用します。様々な大きさが用意されていてブロックのように組み合わせていきます。




数行組んだら文字をゲラに移します。これを繰り返し、版全体をつくっていきます。余白の取り方や隙間なく美しく組み上げる技は、確かな経験がなければできないこと。ひとつずつ丁寧に教えていただきながら、その難しさを体感しました。




4.校正刷り
印刷機に版をセットし、試し刷りをします。活版では実際より文字が太ったり、版の状態では文字が反転しているので、印刷してみるとイメージががらっと変わります。印圧や紙の位置を微調整して、本紙に印刷します。




5.印刷
印刷機は50年以上前のドイツ製のもの。使い込まれていてかなり風格が感じられます。全自動ならぬ、全手動なので、一枚ずつ紙をセットし一枚ずつ印刷をしていきます。動力は足踏みのため足が筋肉痛になりかけましたが、これを多いときには一日で数千枚単位ですることもあるのだそうです。




横組みの部分が仕上がりました!白い紙にのる、真っ黒な活字。文字フェチとしてはこれだけでごはん3杯いけそうです。




3〜5を繰り返して、残りの縦組みと罫線の部分も作成します。
住所と名前の縦組みの部分が実際印刷してみると大きくて文選からやり直したり、罫線がなかなか上手く一定にならず諦めようかと思ったり、午前中から始めた作業も気が付くと外は日が沈んで暗くなっていました。


完成








干支である「羊」という漢字が入った文字を、活字の見本帖の形式で並べました。「羊」が付く漢字には縁起が良い字が多く、まさに新年にぴったりです(自分で言います!)ちなみに用紙は吉祥紙というもので、用紙名にも羊が入っています。黄みがかった柔らかい紙なので、ちょっぴり古ぼけた感じと活版の凹みがより強調される仕上がりになりました。


 おわりに

年末年始の忙しい時期に丸一日制作に付き合っていただたおふたりに、この場を借りて改めてお礼申し上げます。ありがとうございました!尚榮堂さんはワークショップや「金澤町家巡遊」といったイベントにも参加されているので、活版印刷に興味のある方はぜひ!

長々と書きましたが、これを読んで少しでも活版印刷のことや、ひいてはデザインに関心を持ってもらえたら嬉しいです。そして今回を機に、毎年の年賀状を「自分でする◯◯」と題してシリーズ化していこうと計画しております。。来年もお楽しみに!
番外
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